まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような、息をのむほどに美しい「セレブの邸宅」。
その扉の向こう側には、一体どのような世界が広がっているのでしょうか。
はじめまして。
ライフスタイルジャーナリストの高橋レナです。
私はこれまで15年以上にわたり、世界中のラグジュアリーな住宅を取材し、その魅力を言葉で紡いできました。
今回は、数ある都市の中でも特に個性が際立つ、ロサンゼルス、パリ、ロンドンの3都市に焦点を当てます。
それぞれの街が描き出す、美意識と哲学に満ちたラグジュアリー住宅の個性を、私と一緒に巡る旅に出かけましょう。
この記事を読み終える頃には、あなたもきっと、理想の暮らしのヒントを見つけているはずです。
目次
ロサンゼルス──“開放感と陽光”が支配する邸宅の世界
燦々と降り注ぐ太陽の光を全身で受け止める、開放感に満ちた邸宅。
それがロサンゼルスにおけるラグジュアリーの象徴です。
エンターテインメントの都にふさわしい、ドラマティックな空間がここにはあります。
ハリウッド・ヒルズからマリブへ──セレブが集うエリアの魅力
ロサンゼルスの高級住宅地といえば、多くの人がまず思い浮かべるのがこれらのエリアでしょう。
- ハリウッド・ヒルズ:丘陵地に邸宅が点在し、ロサンゼルスの街並みや太平洋を一望できるパノラマビューが魅力です。プライバシーを確保しやすいため、多くのスターが居を構えています。
- ビバリーヒルズ:言わずと知れた超高級住宅街。美しい並木道と、生垣の向こうに広がる壮大な邸宅がステータスを物語ります。
- マリブ:美しいビーチ沿いに邸宅が並び、究極のオーシャンフロントライフを実現できる場所。波音をBGMに暮らす贅沢は、何物にも代えがたいものです。
これらのエリアは、単に高級であるだけでなく、豊かな自然と都市機能へのアクセスを両立させている点が、セレブリティを惹きつけてやまない理由なのです。
ガラスの壁とインフィニティプール──開放感に満ちた建築様式
LAの邸宅建築を語る上で欠かせないのが、圧倒的な開放感を生み出すデザインです。
その代表的な要素が、床から天井まで続くガラス張りの壁や、スライディングドア。
これらは、室内にいながらにして、まるで屋外の庭やテラスと一体化したかのような感覚をもたらします。
そして、その先には空と海につながるインフィニティプールが広がる…というのが、王道のスタイル。
屋内と屋外の境界線を曖昧にすることで、カリフォルニアの豊かな自然を暮らしの一部として取り込んでいるのです。
スター建築家が手がける“贅沢の極み”な邸宅たち
世界中の才能が集まるロサンゼルスでは、著名な建築家が手がけた芸術作品のような邸宅も少なくありません。
ミッドセンチュリーモダンの巨匠による歴史的建築から、現代建築家による前衛的なデザインまで、そのスタイルは実に多様です。
彼らは、ただ豪華なだけでなく、その土地の特性を最大限に活かし、住まう人のライフスタイルを映し出す唯一無二の空間を創造します。
まさに贅沢の極みと言えるでしょう。
こうしたアメリカの邸宅には、私たちの家づくりのヒントになるような魅力がたくさん詰まっています。
より具体的な事例に興味がおありでしたら、長田雄次、魅力的な豪邸についてまとめてみた。も参考になるかもしれません。
様々なスタイルの豪邸が紹介されており、眺めているだけでも夢が広がります。
セレブの日常に見る、LA流ミニマル&ナチュラルな暮らし
意外に思われるかもしれませんが、LAセレブのインテリアは、ミニマルでナチュラルなスタイルが主流です。
広大な空間を活かし、上質でシンプルな家具をゆったりと配置。
そこに、オーガニックな素材のリネンや、観葉植物などを取り入れることで、リラックスした心地よい雰囲気を演出します。
屋外のテラスに設けられたバーベキューグリルやピザ窯で仲間と集うなど、肩の力を抜いた自然体な暮らしこそが、彼らにとっての真のラグジュアリーなのかもしれません。
パリ──“歴史と洗練”が息づくクラシック邸宅
芸術と美食の都パリ。
この街の邸宅は、ロサンゼルスとは対照的に、積み重ねられた歴史そのものが価値となる、重厚で優雅な魅力に満ちています。
特に「アパルトマン」と呼ばれる集合住宅に、その美学は凝縮されています。
アパルトマンの芸術美──マレやサン・ジェルマンの高級住宅事情
パリの高級住宅といえば、オスマン様式の石造りの美しいアパルトマンです。
特に歴史的な地区であるマレやサン=ジェルマン=デ=プレには、ため息が出るほど美しい建物が軒を連ねています。
これらのアパルトマンは、単なる住居ではなく、それ自体が芸術品。
鉄細工の美しいバルコニーや、彫刻が施されたエントランスが、住まう人のステータスを静かに物語っています。
クラウンモールディングと暖炉──優雅な内装のディテール
パリの邸宅の内部は、クラシックなディテールで彩られています。
これらは、空間に品格と奥行きを与える重要な要素です。
- クラウンモールディング:天井と壁の境目を飾る華麗な天井装飾。
- ヘリンボーンの床:寄せ木張りのフローリングが織りなす美しい模様。
- 大理石の暖炉:リビングの中心に鎮座し、空間の主役となる存在。
「古いものにこそ価値がある」
パリに暮らす人々は、こうした歴史的な意匠を心から愛し、大切に受け継いでいます。
新しいことだけが豊かさではないという価値観が、そこには息づいているのです。
リノベーションで生まれ変わる、モダンと伝統の融合空間
歴史を重んじる一方で、現代の暮らしに合わせて大胆にリノベーションを楽しむのもパリ流です。
クラシックな装飾はそのままに、キッチンやバスルームには最新の設備を導入。
そこに、モダンなデザインの家具や現代アートを絶妙なバランスで配置します。
伝統と革新が見事に調和した空間は、まさに洗練の極み。
歴史への敬意と、自分らしいスタイルを追求するパリジャンたちの美意識が感じられます。
パリジャン・セレブの“隠れ家”スタイルとそのライフスタンス
パリのセレブリティは、必ずしも広さや派手さを求めるわけではありません。
むしろ、歴史あるアパルトマンの一室を、自分だけのセンスで磨き上げた「隠れ家」のような空間を好む傾向にあります。
彼らにとって住まいは、自身の知性や感性を表現する場所。
アートを飾り、選び抜かれた家具に囲まれ、思索にふける時間を大切にする。
そんなライフスタンスが、パリの邸宅のあり方を形作っているのです。
ロンドン──“格式とプライバシー”を守る英国流レジデンス
伝統と革新が共存する街、ロンドン。
この街のセレブ住宅は、英国らしい「格式」と、個人の時間を何よりも大切にする「プライバシー」という2つのキーワードで読み解くことができます。
ケンジントンやハムステッド──由緒ある住宅街に潜む邸宅
ロンドンの高級住宅街として名高いのが、ケンジントンやノッティング・ヒル、そしてハムステッドといったエリアです。
これらの地区は、美しい公園に隣接し、静かで落ち着いた環境が保たれています。
赤レンガ造りのタウンハウスや、白く美しいスタッコ仕上げのヴィラが整然と並ぶ街並みは、まさに壮観。
由緒ある住宅街に居を構えること自体が、英国における一つの社会的なステータスなのです。
ジョージアン様式からコンテンポラリー建築までの多様性
ロンドンの邸宅で象徴的なのが、18世紀から19世紀にかけて流行した「ジョージアン様式」です。
その特徴はこちらです。
- シンメトリーなデザイン:左右対称の端正なファサード(建物の正面)。
- 規則正しい窓の配置:上下にスライドして開閉する「上げ下げ窓」が等間隔に並びます。
- レンガ造りの壁:温かみのある赤レンガが、街並みに統一感と品格を与えています。
こうした伝統的な建築様式を守りつつも、近年では歴史的建造物をモダンに改装した邸宅や、著名建築家によるコンテンポラリーな住宅も増えており、その多様性もロンドンの魅力となっています。
「住まいはステータス」──英国セレブがこだわる空間美学
英国のセレブリティにとって、住まいは自己表現の場であると同時に、社会的地位を示す重要な要素です。
そのため、彼らは建物の歴史や様式、インテリアのディテールに強いこだわりを持っています。
例えば、内装には重厚なウッドパネルや、英国ブランドの壁紙、上質なファブリックなどをふんだんに使用。
歴史と伝統に裏打ちされた、揺るぎない品格を空間全体で表現するのです。
完全予約制のインテリアショップと英国流おもてなしのヒント
インテリアへのこだわりは、家具選びにも表れています。
ロンドンには、一般には公開されていない完全予約制のインテリアショップやショールームが存在し、セレブリティたちはそこで専属のデザイナーと共に、唯一無二の空間を作り上げていきます。
また、ゲストを自宅に招く文化が根付いている英国では、おもてなしの精神が住宅設備にも反映されています。
バスルームに設置されたタオルウォーマーなどは、そのささやかな一例。
ゲストに心地よく過ごしてもらいたいという、細やかな配慮が感じられます。
世界のセレブ住宅に見る共通点と相違点
これまで3つの都市を巡ってきましたが、それぞれの住宅にはどのような共通点と相違点があるのでしょうか。
表で簡潔に整理してみましょう。
都市 | 主な建築スタイル | 空間のキーワード | 価値観・美意識 |
---|---|---|---|
ロサンゼルス | モダン、コンテンポラリー | 開放感、自然との一体化 | ドラマティック、ミニマル |
パリ | オスマン様式(アパルトマン) | 歴史、優雅さ | 知的、芸術的、隠れ家的 |
ロンドン | ジョージアン様式、レンガ造り | 格式、プライバシー | 伝統、ステータス、重厚感 |
自然との調和とプライベート空間のバランス
興味深いことに、これらすべての都市の邸宅に共通しているのは、「自然との調和」と「プライバシーの確保」という、一見すると相反する二つの要素を高いレベルで両立させている点です。
LAでは広大な庭やプール、パリやロンドンでは中庭や美しい公園への眺望という形で、暮らしに自然を取り入れています。
アートとデザインの融合が生む“暮らしの舞台装置”
もう一つの共通点は、住まいが単なる箱ではなく、人生を豊かにするための「舞台装置」として考えられていることです。
選び抜かれたアートやデザイナーズ家具は、空間を彩るだけでなく、住まう人の哲学や美意識を映し出す鏡のような役割を果たしています。
都市ごとに異なる「時間の流れ」と住宅のあり方
一方で、最も大きな違いは「時間の流れ」に対する考え方かもしれません。
未来志向で変化を恐れないLA、過去の遺産を未来へと繋ぐパリ、そして伝統そのものに価値を見出すロンドン。
それぞれの都市に流れる時間軸が、住宅のあり方にも深く影響を与えているのです。
まとめ
ロサンゼルス、パリ、ロンドン──三都三様のセレブ住宅を巡る旅、お楽しみいただけたでしょうか。
最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。
- ロサンゼルス:太陽と自然を愛し、開放感に満ちたドラマティックな空間が魅力。
- パリ:歴史あるアパルトマンを舞台に、知的で芸術的な暮らしを紡ぐ。
- ロンドン:伝統と格式を重んじ、プライバシーが守られた重厚な邸宅を好む。
- 共通点:どの都市でも、住まいは自然と調和し、アートと融合した「人生の舞台装置」である。
建築やインテリアは、多くを語ります。
それは、住まう人の生き方、価値観、そして人生観そのものです。
今回の旅が、あなたの美意識を磨き、日々の暮らしをより豊かにする小さなきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。
さて、旅の終わりに、あなたに問いかけてみたいと思います。
あなたなら、どの街の邸宅に暮らしますか?
最終更新日 2025年7月2日 by egetpr